2021/10/12

特許権侵害と会社法429条1項

令和3年(2021年)9月28日大阪地裁21民事部判決
令和元年(ワ)第5444号 損害賠償請求事件

原告:メディオン・リサーチ・ラボラトリーズ
被告:P1、P2、P3、P4(いずれも個人)

本件は、特許権侵害に対する損害賠償を、会社法429条1項(役員等の第三者に対する損害賠償責任)の規定に基づき侵害法人の取締役ら個人に対して請求された損害賠償請求事件に関するものであって、侵害法人に対する別件侵害訴訟事件で認められた損害賠償額と基本的に同額が認められました。

[1]本事件の概要
(1)本件は,発明の名称を「二酸化炭素含有粘性組成物」とする2件の特許(特許第4659980号及び特許第4912492号)の製造販売等を行った訴外2社の代表取締役,取締役であった被告らに対し,本件各特許権が侵害され損害を受けたとして,被告ら全員に対し,会社法429条1項に基づく損害賠償等の支払を求めた事件です。
被告P1は,ネオケミア社の代表取締役であった者であり、被告P2は,ネオケミア社の取締役であった者です。被告P3は,クリアノワール社の代表取締役であった者であり、被告P4は,クリアノワール社の取締役であった者です。

(2)別件訴訟
原告は,平成27年5月1日,ネオケミア社及びクリアノワール社(訴外2社)を含む総計11社を被告として,各社の製品の製造販売が本件各特許権の侵害行為に当たるとして,特許権侵害の不法行為に基づき損害賠償等を求める訴え(大阪地裁平成27年(ワ)第4292号。「別件訴訟」)を提起し、別件訴訟において,大阪地裁は,ネオケミア社に対し,金1億1107万7895円等の金員を原告に支払うよう命じ,クリアノワール社に対し,金1223万6265円等の金員を原告に支払うよう命じることなどを内容とする判決(別件判決)を言い渡し、訴外2社を含む7社は,同判決に対して控訴しましたが,知財高裁は,令和元年6月7日,控訴を棄却する判決をし,別件判決は確定しました(知財高裁平成30年(ネ)10063、令和1年6月7日判決)。

(3)争点
争点1:本件各発明の技術的範囲への属否
争点2:褥瘡治療マニュアル(乙1)に基づく進歩性欠如の有無
争点3:被告らの悪意重過失の有無
争点4:原告の損害額
争点5:被告P1及び被告P3を主体とする不法行為の成否
争点6:権利濫用の成否

[2]裁判所の判断
裁判所は、争点3と4につき、下記のように判示し、侵害法人の取締役らに対して会社法429条1項に基づく損害賠償責任を認め、その賠償額としては、別件判決で認められた損害賠償額と基本的に同額を認めました。
(1)争点3(被告らの悪意重過失の有無)
ア 判断の枠組み
法人の代表者等が,法人の業務として第三者の特許権を侵害する行為を行った場合,第三者の排他的権利を侵害する不法行為を行ったものとして,法人は第三者に対し損害賠償債務を負担すると共に,当該行為者が罰せられるほか,法人自身も刑罰の対象となる(特許法196条,196条の2,201条)。
したがって,会社の取締役は,その善管注意義務の内容として,会社が第三者の特許権侵害となる行為に及ぶことを主導してはならず,また他の取締役の業務執行を監視して,会社がそのような行為に及ぶことのないよう注意すべき義務を負うということができる。
他方,特許権者と被疑侵害者との間で特許権侵害の成否や特許の有効無効について厳しく意見が対立し,双方が一定の論拠をもって自説を主張する場合には,特許庁あるいは裁判所の手続を経て,侵害の成否又は特許の有効性についての公権的判断が確定するまでに,一定の時間を要することがある。
このような場合に,特許権者が被疑侵害者に特許権侵害を通告したからといって,被疑侵害者の立場で,いかなる場合であっても,その一事をもって当然に実施行為を停止すべきであるということはできないし,逆に,被疑侵害者の側に,非侵害又は特許の無効を主張する一定の論拠があるからといって,実施行為を継続することが当然に許容されることにもならない。
自社の行為が第三者の特許権侵害となる可能性のあることを指摘された取締役としては,侵害の成否又は権利の有効性についての自社の論拠及び相手方の論拠を慎重に検討した上で,前述のとおり,侵害の成否または権利の有効性については,公権的判断が確定するまではいずれとも決しない場合があること,その判断が自社に有利に確定するとは限らないこと,正常な経済活動を理由なく停止すべきではないが,第三者の権利を侵害して損害賠償債務を負担する事態は可及的に回避すべきであり,仮に侵害となる場合であっても,負担する損害賠償債務は可及的に抑制すべきこと等を総合的に考慮しつつ,当該事案において最も適切な経営判断を行うべきこととなり,それが取締役としての善管注意義務の内容をなすと考えられる。
具体的には,①非侵害又は無効の判断が得られる蓋然性を考慮して,実施行為を停止し,あるいは製品の構造,構成等を変更する,②相手方との間で,非侵害又は無効についての自社の主張を反映した料率を定め,使用料を支払って実施行為を継続する,③暫定的合意により実施行為を停止し,非侵害又は無効の判断が確定すれば,その間の補償が得られるようにする,④実施行為を継続しつつ,損害賠償相当額を利益より留保するなどして,侵害かつ有効の判断が確定した場合には直ちに補償を行い,自社が損害賠償債務を実質的には負担しないようにするなど,いくつかの方法が考えられるのであって,それぞれの事案の特質に応じ,取締役の行った経営判断が適切であったかを検討すべきことになる。

イ 被告P1の悪意重過失について
被告P1が,各被告製品の製造販売が本件各特許権の侵害にならない,あるいは本件各特許は無効であると主張した点について十分な論拠があったということはできず,むしろ特許制度の基本的な内容に対する無理解の故に,ネオケミア特許の実施品であれば本件各特許権の侵害にはならないと誤解して各被告製品の製造販売を続け,取引先にもそのように説明したものである。
特許権侵害の成否,権利の有効無効については,公権力のある判断が確定するまでは軽々に決し得ない場合があり,自社に不利な判断が確定する場合もあるのであるから,取締役にはそれを前提とした経営判断をすべきことが求められ,前記で述べたような方法をとることで,特許権侵害に及び,自社に損害賠償債務を負担させることを可及的に回避することは可能であるにも関わらず,被告P1はそのいずれの方法をとることもせず,各被告製品の製造販売を継続している。さらに,別件判決によれば,ネオケミアは各被告製品の販売により相応の利益を得ていたのであるから,特許権侵害となった場合の賠償相当額を留保するなどして,別件判決確定後に損害を遅滞なく填補すれば,ネオケミアに損害賠償債務を確定的に負担させないようにすることも可能であったのに,被告P1は任意での賠償を行わず,ネオケミアを債務超過の状態としたまま,破産手続開始の申立てを行ったものである。
以上を総合すると,被告P1が,本件各特許が登録されたことを知りながら,特段の方法をとることなく各被告製品の製造販売を継続したことは,ネオケミアの取締役としての善管注意義務に違反するものであり,被告P1は,その前提となる事情をすべて認識しながら,ネオケミアの業務としてこれを行ったのであるから,その善管注意義務違反は,悪意によるものと評価するのが相当である。

ウ 被告P2の悪意重過失について
会社法上,取締役として選任されている以上は,個々の能力,知識,報酬等の有無にかかわらず,取締役として一般に要求される善管注意義務を尽くして代表取締役の業務執行を監視,監督すべきものである。
被告P2は,自身が名目上の取締役であり,ネオケミアの業務に全く関与せず,本件各特許の内容を知らず,各被告製品が本件各特許権を侵害するかを判断する機会もなかったので,被告P1の経営判断が特許権侵害であるとしても,それを発見し,抑止することはできなかったと主張するが,このような理由で,取締役としての善管注意義務が存在しない,あるいは免除されていると解することはできない。
既に認定したとおり,原告とネオケミアとの間で各被告製品に係る明らかな紛争が発生していたのであるから,被告P2において,これを把握することは容易であり,被告P1に対し,ネオケミアに不利となる公権的判断が確定する可能性をも考慮した適切な経営判断を行っているかを確認し,被告P1の判断に不十分な点があれば,再考を求めることは可能であったと解される。
被告P2が,上述したような監視,監督を尽くしても,被告P1の行為を抑止できなかったとすべき具体的な事情は認められないし,被告P2がネオケミアの業務に関心を持たず,本件各特許すら知らず,各被告製品に係る紛争を知らなかったということを被告P2に有利な事情と解することはできず,むしろ,取締役としての義務に違反する程度は大きいといわざるを得ない。
以上を総合すると,被告P2には,取締役である被告P1の業務執行に対する適切な監視,監督を怠ったことについて,重大な過失があったということができる。

エ 被告P3の悪意重過失について
被告P3は,原告から被告製品14の販売が本件各特許権の侵害に当たるとの警告を受けたものの,本件各特許の発明者であって炭酸ガスパックの専門家であった被告P1から,ネオケミアが委任した弁護士や弁理士が特許権侵害ではないと言っているなどと聞き,どのような根拠で特許権侵害に当たらないということになるのか理解できないまま,ネオケミアも特許権を有していて,原告製品よりネオケミアの製品の方が品質・性能が良いので,原告の特許権が優先することはないなどと考え,被告製品14の販売を継続する意思決定をしたというのであるから,主として,被告製品14の製造元であるネオケミアからの説明に依拠してその判断を行ったことになる。
しかしながら,特許権侵害が成立しないとするネオケミア側の説明に十分な論拠がなく,むしろ被告P1の特許制度に対する誤解が前提となっていたことは,品質・性能において上回っていることは,特許権侵害を否定する理由とはなり得ない。
被告P3は,特許権侵害の判断は素人には難しく,警告を受ければすべからく製造販売等を停止しなければならないとすることは不当であると主張するが,クリアノワールの代表取締役として,被告P3には,特許権侵害の成否や権利の有効性についての公権的判断が,自己に有利にも不利にも確定する可能性があることを前提に,そのいずれの場合であっても第三者の権利を侵害し損害を生じさせることを可及的に回避しつつ,自社の利益を図るような経営判断をすべき注意義務があったということができる。
この点について被告P3は,特許権侵害の警告を受けた後も,主として被告製品14の製造元であるネオケミア側からの説明に依拠し,前記で検討したような方法をとることもなく,裁判所からの心証開示があるまでの間,被告製品の14の販売をして特許権侵害の不法行為を継続し,原告に損害を生じさせたのであるから,取締役としての善管注意義務に違反したというべきであり,少なくとも重過失によると認めるのが相当である。

オ 被告P4の悪意重過失について
会社法上,取締役として選任されている以上は,個々の能力,知識,報酬等の有無にかかわらず,取締役として一般に要求される善管注意義務を尽くして代表取締役の業務執行の監督を行うべきものである。
原告から警告書の送付を受けるなど,クリアノワールについて被告製品14に係る明らかな紛争が発生していたのであるから,その取締役であった被告P4においてこれを把握することは容易であった。また,被告P3に確認すれば,特許権侵害が成立しないことの十分な論拠はなく,仮に特許権侵害が確定した場合の対応も想定しないままに,クリアノワールが被告製品14の販売を継続しようとしていることを知り得たのであるから,被告P4には,取締役である被告P3の監視・監督を怠る義務違反があったというべきであり,その過失の程度は重大というべきである。

(2)争点4(原告の損害額)
ア ネオケミアの行為に係る原告の損害額
売上額から,原告において経費として控除することを自認する額を差し引き,その1割に相当する金額を弁護士費用として加算した金額は,1億0829万1485円である。
別件訴訟において原告が弁護士及び弁理士に委任して訴訟追行していたことが認められ,ネオケミアの行為と相当因果関係のある弁護士費用等は,ネオケミアの利益の額の1割とするのが相当であるから,ネオケミアの行為と相当因果関係のある損害として特許法102条2項により推定される損害額及び弁護士費用は,1億0829万1485円であると認められる。
また,原告は,700万円を回収した等として控除することを自認しているから,ネオケミアの行為と相当因果関係のある損害額として現存するのは,1億0129万1485円であると認められる。

上記1億0829万1485円という金額は,別件判決が特許法102条2項を適用して算出したネオケミアの損害賠償債務の元金部分(1億1107万7895円)から,被告製品6の売上にかかる部分と原告が差押え等により回収した700万円を控除した金額に一致するところ,被告らは,会社法429条1項に基づく責任に特許法102条2項を適用または類推適用すべきではない旨主張する。
しかしながら,特許法102条2項は,推定を用いるとはいえ,特許権者が受けた損害賠償額を算定する方法を定めたものであり,別件判決の確定により,原告がネオケミアの特許権侵害により上記損害を受けたことは確定しているのであるから,取締役の善管注意義務違反によりネオケミアが特許権侵害を行ったことによる損害も,これと同じものであると解するのが相当であり,法的性質は異なるとして,別途の算定をしなければならないと解すべき理由はない

イ クリアノワールの行為に係る原告の損害額
売上額から,原告において経費として控除することを自認する額を差し引き,その1割に相当する金額を弁護士費用として加算した金額は,1223万6265円であり,被告P4がクリアノワールの取締役であった平成26年11月30日までの期間の利益額は896万8027円である。
別件訴訟において原告が弁護士及び弁理士に委任して訴訟追行していたことが認められ,クリアノワールの行為と相当因果関係のある弁護士費用等は,クリアノワールの利益の額の1割とするのが相当であるから,クリアノワールの行為と相当因果関係のある損害として特許法102条2項により推定される損害額及び弁護士費用は,1223万6265円であると認められる。
また,原告は,150万円を回収したとして控除することを自認しているから,現存するクリアノワールの行為と相当因果関係のある損害額は,1073万6265円であると認められる。

上記1223万6265円という金額は,別件判決が特許法102条2項を適用して算出したクリアノワールの損害賠償債務の元金部分に一致するが,取締役の善管注意義務違反によりクリアノワールが特許権侵害を行ったことによる損害も,同様に解するのが相当である。
被告P3及び被告P4は,会社法429条1項は悪意又は重過失を要件としており,成立要件を厳格にしておきながら,損害額の立証については立証を容易にする推定規定を適用することは立法趣旨に反すると主張するが,会社法429条1項の責任は不法行為責任とは別個の責任を定めるものであるところ,第三者の生じた損害をどう認定するかについては何も定めておらず,特許権侵害があった場合の損害の算定について,特許法の規定を用いることを禁じるものとは解されない

[3]コメント
①本件は、特許権侵害に対する損害賠償を、侵害法人ではなく、その代表取締役らに求めた損害賠償請求事件であって、その根拠条文は、特許権侵害における一般的な民法709条の不法行為に基づく損害賠償規定ではなく、会社法429条1項の役員等の第三者に対する損害賠償責任規定です。本件のように、特許権侵害に対する損害賠償の請求において、会社法429条1項が真っ向から検討され適応されたのは、非常に珍しいと思います。会社法429条1項が問題となったのは、本件が特許権を侵害した法人という組織に対してではなく、ひとえに侵害した法人を実際に導いた経営者の責任を追及するものだからです。
本判決でも示されているように、本件より先に、侵害法人に対しても特許法100条と民法709条に基づく差止損害賠償請求があり(別件訴訟)、地裁、そしてその控訴審でも法人による侵害が認定され、差止及び損害賠償が認められて確定しています。
なお、先の別件訴訟における控訴審は大合議に付され、特許法102条2項の「利益の額」は限界利益であること、その主張立証責任は特許権者にあること、また、推定覆滅事由については、具体例を示すと共に、同上1項ただい書の事情と同様とし、その主張立証責任は侵害者にあることなどが示されました。

②通常でしたら、法人の侵害が認定され、差し止めが執行され、当該法人から損害賠償額が遅滞なく支払われれば、それで一件落着かと思われます。
しかし、本件の侵害法人は破産したり、新しい会社が設立されたりと、侵害法人から損害賠償額が十分に補填されなかったのではないかと思われます。そのため、特許権者は侵害法人の経営者の責任を追及し、会社法429条1項の規定により、経営者個人から直接的に当該侵害行為に基づく逸失利益を回収しようとされたのではないかと想像します。

③会社法429条1項は「役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定されています。
上記の通り、当該規定により損害賠償が認められるためには、役員等が職務を行うにあたり「悪意又は重大な過失があった」ことが要件となります。
当該悪意又は重大な過失の判断に当たって、本件の裁判所は、まず、会社の取締役の善管注意義務の内容として,「会社が第三者の特許権侵害となる行為に及ぶことを主導してはならず,また他の取締役の業務執行を監視して,会社がそのような行為に及ぶことのないよう注意すべき義務を負う」こと、そして、自社の行為が第三者の特許権侵害となる可能性のあることを指摘された場合、「取締役としては,侵害の成否又は権利の有効性についての自社の論拠及び相手方の論拠を慎重に検討した上で,・・・侵害の成否または権利の有効性については,公権的判断が確定するまではいずれとも決しない場合があること,その判断が自社に有利に確定するとは限らないこと,正常な経済活動を理由なく停止すべきではないが,第三者の権利を侵害して損害賠償債務を負担する事態は可及的に回避すべきであり,仮に侵害となる場合であっても,負担する損害賠償債務は可及的に抑制すべきこと等を総合的に考慮しつつ,当該事案において最も適切な経営判断を行うべきこと」を具体例を交えて説示し、「それぞれの事案の特質に応じ,取締役の行った経営判断が適切であったかを検討すべきことになる」と指摘しました。
そして本件の場合、総合的観点から侵害法人の代表取締役らの善管注意義務違反が認定され、被告らは悪意又は重大な過失があったと判断されました。
次に問題となるのは、その善管注意義務違反により他人の特許権の侵害を行ったことによる損害をどのように見積もるかですが、本件の裁判所は、法人が特許権侵害を行ったことによる損害と同じであるとし、特許法102条2項を類推適用し、当該規定により算定された先の確定損害賠償額と同じであるとしました。会社法429条1項に基づく損害額も、特許法102条で算定できることが示されました。

④特許権侵害の場合、一般には、法人が行った行為の是非を問題とし、法人に対して侵害訴訟が提起され、その裁判所判断で十分な場合が多いように思われます。一方、本件のように、法人の取締役の責任(善管注意義務)を追及することも可能であり、その損害賠償額も特許法102条(基本的には逸失利益の算定)で算定可能であり、法人の不法行為による損害賠償額と基本的に同じであれば、事案によっては、会社法429条1項により取締役から損害賠償額を獲得することが考えられます。
また、特許権侵害に対して、本件のように会社法429条1項で実際に訴訟を提起されるか否かは別として、本判決により、特許権侵害か否かといった点も、取締役の善管注意義務の一つであることが明確になったように思います。取締役には、特許権侵害か否か、特許権侵害とされた場合にどのように備えるかなどの適切な経営判断が一層求められるかと思います。当然ですが、単に名目上の取締役であるということでは済まない時代になってきたと思います。

以上、ご参考になれば幸いです。